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読了 : 『国家の品格』 – 藤原正彦

投稿日:2019年6月6日 更新日:

はじめに

数学者である藤原正彦が講演で話したことをベースにまとめた本です。日本が古来から持っている「情緒」に対する感性を強く主張しています。

 

『国家の品格』

作者: 藤原正彦 (1943-)

出身国: 日本

発行年: 2005年

 

概要

2000年の歴史から育まれた美的感受性、武士道からくる卑怯を憎む心、こうした日本人なら今まで普通に持っていたはずのことを取り戻せ、と藤原正彦は言います。その中で、英語教育の在り方(英語帝国に対する批判)と日本人の西洋化への批判が混ざります。

「〇〇は意味ない」、「〇〇はよくない」と言った発言はそれができる上でして欲しいと常々思いますが、彼は語学に関しても才能があり日本語以外も堪能に話すそうです。その上で、今の英語教育批判は納得させられるものがあります。

 

響いた言葉

日本人の英語下手の理由

英語の実力がアメリカ人の五割、日本語の実力が日本人の五割という人間になります。このような人間はアメリカでも日本でも使い物になりません。

藤原正彦も本文中で指摘するように、今の英語教育の問題は、英語も国語も中途半端な子供が多く生まれるであろうところにあります。僕は学生時代に、塾講師として働いていましたが幼少期から英会話を習っていた生徒で国語が得意な生徒に一人も出会いませんでした。帰国子女のように、完全に家の外は英語、中は日本語と分けない限りどちらも中途半端になってしまうというのは自分の肌感覚としてあります。

外国語は関係ない

ヴァイオリンはヴァイオリンのように鳴ってはじめて価値がある。

西洋人のように振る舞う日本人は、国際会議というオーケストラの中に必要ない、ということです。チェロのような音色のするヴァイオリンは、オーケストラには必要ないわけです。僕も今外国人と一緒に働く職場にいますが、日本人としての「情緒」は大切にしていきたいものです。いい人すぎてはやられてしまいがちですが…

外国語よりも読書を

私がことあるごとに「外国語にかまけるな」「若い時こそ名作を読め」と言っているのは、私自身の取り返しのつかない過去への遺恨もあるからです。~情緒や形を育てる主力は読書なのです。

今こうしてこの本の感想を書いていることもそうですし、本を読んでいるのもそうです。先日半年かけて『カラマーゾフの兄弟』を読み終えましたが、社会人になると途端に本を読む時間と精神的余裕がなくなる。本を読むのに時間がかかるわけです。もし学生時代の自分に一言アドバイスできるなら、「もっと本を読め」と言いたい…

本を読む理由は、人の体験を疑似体験できること+知識、教養、語彙を増やすこと、そしていろいろな形で感動することだと思います。高校時代に「知識は世界を変える」と言われたことがあります。「同じを見ていてもその背景知識の有無で、そのものの見え方は大きく変わる」、ということです。

総合判断力を上げる

「論理的に正しい」ものがゴロゴロある中から、どれを選ぶのか。その能力が人の判断力です。それはいかに適切に出発点を洗濯できるか、が勝負です。別の言い方をすれば「情緒力」なのです。

「出発点を選ぶ」という考えはもっと拡張できると思っていて、「出発点」はあるゆる意思決定の前提となります。出口=アウトプットを常に逆算して、最短時間・最大成果を考えることも大切ですが、その出発点は常に「情緒」に寄り添った倫理的に正しいものでありたいものです。

 

細かいことはさておき

めちゃくちゃ右な本で、川端康成の『美しい日本の私』を思い出しました。ただ最終的に川端康成は彼の「美しい日本の私」を理想像として自殺したのに対して、藤原正彦は今もご健在です。その差は大きいのかもしれません。

 

雑食青年

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