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読了 : 『快楽主義の哲学』 – 澁澤 龍彥

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はじめに

SMの「サディズム」の言葉の元になったフランス人、マルキ・ド・サドの翻訳を広めたことで有名になった澁澤龍彦という人の人性論です。なかなか刺激的な内容でした。

 

『快楽主義の哲学』

作者: 澁澤 龍彥 (1928-1987)

出身国: 日本

発行年: 1996年

 

概要

文春文庫さんの紹介文を。

人生に目的などありはしない。信ずべきは曖昧な幸福にあらず、ただ具体的な快楽のみ……。時を隔ててますます新しい、澁澤龍彦の煽動的人生論。三島由紀夫絶賛の幻の書。

追求すべきは社会が描く「幸福」ではなく、「快楽」なのである、と。

 

好きだったエピソード

退屈地獄からの脱出

冗談言っちゃあいけない。いくら未来の「あかるい社会」のことを頭のなかに思い描いたって、苦しい仕事が楽しくなるわけがない。そんな歌で満足してられるとすれば、宗教と同じです。

〜それはともかく、退屈は、わたしたちの目の前に、どうしようもなく突っ立ている巨大な壁のようなものです。

〜しかし、考えようによっては、退屈は人間だけがもっている特権的な感情です。

〜退屈の反対は「刺激」ですが、刺激もたび重ねってくると、たちまち麻痺してしまう。

つまり、退屈とはそういうものなのです。平凡な時間の連続のなかに、キラッと光るような瞬間がある。こいつをだいじにしなければならない。

日々の仕事を頑張ったら報われる、だとかそういう音楽、映画が流行っている、というかそういう物語構造が常に社会から必要とされているのが世界全体の流れだと思います。ただ、一番大切なのは苦労なしに満足感はない、ということなのではないでしょうか?

『カラマーゾフの兄弟』イワンのセリフより

苦しみこそが人生だからですよ。苦しみのない人生にどんな満足があるっていうんです。

上のセリフを思い出しました。常に表裏一体で、どちらが欠けてもどちらも何でもなくなってしまうのかもしれません。

博愛主義は、うその思想である

また、他人の快楽がそのまま自分の幸福になる、というのも賛成しかねる意見です。もしそういう人がいたとしたら、それは利己主義と変わりがないではありませんか。

「大審問官」で取り上げられたテーマに少し似ているかもしれません。つまるところ、ボランティアは他社の幸福を自分の快楽として承認欲求を満たす手段、の一つという側面もあるのかもしれません。ただただ、他人ではなく自分のための快楽を追求していきたいものです。

結び-快楽は発見である

自分で味わってなければ、何もわかりません。新しい快楽は、自分で味わい、自分で発見すべきものだということです。

卵を割らなければオムレツは作れませんし、本は読まないと分からず、映画も見ないと分からないものです。人と人を分ける何かがあるとすれば、それは経験だと私は思います。何においても人より多くを経験すること、快楽を得ることが人としての厚みを同時に生み出すのかもしれません。時に大生活者として。

 

細かいことはさておき

世の中があまりにも、自分自身ではなく社会が描いた「幸福」を追い求めてしまいがちなこのご時世で、胸に刺さる作品でした。サラリーマンの道をやめた自分としては、今からとにかく自分の「快楽」を追い求めていきたい。

 

雑食青年

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